第58回 人を育てチームで業績を上げるリーダーとなれ!
<信頼される人になれ>
法則② 自分が仲間の人生の名脇役になる
(仲間の「大切なもの」を大切にする)
仲間の「大切なもの」を大切にしよう②
前回の記事の例え話です。
あなたが何気なくテレビを観ていると、あるボクサーのドキュメンタリー番組が放送されていました。
あなたは特にボクシングに興味はありません。
他に観たいテレビがないので、たまたま観ていました。
ある若者の半生記です。
彼は3人兄弟の長男です。
小学生の頃に父親が多額の借金を作って蒸発。
いつも借金取りが家に来ては、母親は頭を下げていました。
そういう状況でも、母親は女手ひとつで3人の子供を育ててきました。
朝からスーパーのレジ係の仕事をして、夜は田舎町のスナックで深夜まで働いていました。
子供たちのために、自分の体に鞭を打って頑張っていたのです。
彼は中学に入ると家計を助けるために新聞配達のアルバイトを始めました。
そんな時に出会ったのがボクシングでした。
家にそんな余裕はないからとあきらめていたのですが、母親が彼の気持ちに気づきジムへ通うことを許してくれたのです。
彼は申し訳ないという気持ちと、プロになって母親に楽をさせてあげたいという想いでトレーニングに明け暮れました。
早朝からアルバイト、昼間は学校、夜はトレーニング。
高校は行かずに、アルバイトとトレーニング漬け。
やがて、プロになり連戦連勝を続けていきました。
実力は本物であると認められる様になってきました。
母親が背負った借金はまだ残っているものの、返済の目処もつきはじめました。
そんな姿を見て応援してくれる女性が現れ、チャンピオンの夢に向かって共に走り続けてきたのです。
やがて結婚の約束を・・・・・
そして、とうとう世界チャンピオンへの挑戦が決定。
タイトルマッチに向けてのトレーニングが始まりました。
というところで番組は終了しました。
それから2・3日経ったある日、ふとテレビを観るとボクシングのタイトルマッチが放送されていました。
挑戦者を見ると、あのドキュメンタリー番組で特集されていた青年でした。
試合は1ラウンドが始まったところで、早くも白熱しています。
あなたはボクシングに興味があるわけではないので、チャンピオンのことは知りません。
たまたまテレビで観た挑戦者のことだけは知ることができていたのです。
さて、ここで質問です。
あなたはどちらを応援しますか?
私は幼い時から苦労をして、やっとタイトルマッチに挑むことができた挑戦者を応援してしまうと思います。
多くの人がそうなるのではないでしょうか?
では、なぜ?挑戦者を応援してしまうのでしょうか?
その理由は、“知っているから”なのです。
人は知っているだけで、相手との距離がグッと近づくものなのです。
チャンピオンの苦労などを細かく知ってしまうと、どちらを応援していいのか分からなくなり、両方を応援してしまう様になる。
それも人間の性質なのかもしれません。
では、あなたは仲間のことをどれだけ知っていますか?
もし、あなたが仲間を応援しようという気持ちが少ないのならば、あなたが仲間のことを何も知らないだけなのかもしれません。
また、仲間があなたを応援しようとしないのは、仲間があなたのことを何も知らないだけかもしれません。
あなたは仲間に、自分のことをどれくらい開示していますか?
仲間を知れば知る程、仲間のことを応援したくなるというのが知るということのご褒美です。
また、知ると同時に知ってもらうことで、仲間が自分のことを応援したくなるのです。
だから、仲間の「大切なもの」を知って、その「大切なもの」を大切にしようということです。
(つづく)
野外研修・人材育成・社員教育・風土改革・組織改革・研修
社会人の青春!!野外研修と「スクールプロセス型」人財育成
株式会社シナジーアーク 代表取締役
一般社団法人日本野外研修ワークショップ協会 西日本エリア統括兼関西支部長
蔀 晋輔(しとみ しんすけ)