第33回 人を育てチームで業績を上げるリーダーとなれ!
<信頼される人になれ>
法則① 自分が自分の人生の主人公になる(自分に矢印を向ける)
偽りの客観的視点
客観的視点について学んできましたが、この客観的視点の様なものでありながら、まったく異なる視点があります。
それは“偽りの客観的視点”です。
自分自身で言動や感情を決めている気になっているのですが、実際には周りの言動や環境に決められているというパターンです。
例えば、本当は注意したいのですが、遠慮してしまって何も言わなかったり、これを提案したいと思っているのに、提案するとある上司が嫌がりそうなので止めてしまったり・・・・・
自分の感情に蓋をして抑え込んでいる状態のことです。
遠慮や人の目が気になって、感情に蓋をしてしまうのです。
これらは客観的視点の様に見えて、客観的視点ではないのです。
以前こんな出来事がありました。
あるパチンコ店で店長により不正行為が行われていました。
店長が貯玉カードを作成し、ホールに落ちている玉やお客さんが忘れていった玉などをそこに貯めていたのです。
貯玉を増やし、それを自分のものとしていたのです。
店長は誰も会社に言う者はいないはずと認識し、堂々と不正行為を続けていたのです。
そんな時、私がその会社で研修をすることになったのです。
この本書の内容の研修です。
店の休みもなく、アルバイトも含めた全スタッフへの研修でしたので、1回に付き6名ずつで数回に分けて開催していきました。
その研修の受講生が全体の過半数を超えた時に変化がありました。
その店のスタッフたちが集まって話し合ったのです。
「店長の不正行為やけどな、会社に言うと後でややこしいと思って黙ってたけど、これって研修で学んだ偽りの客観的視点やないんかなあ?」
「そうやで、自分でそうしよう!って決めたんやなくて、後で何か言われたら嫌やと思って自分の感情にふたをしてるだけやで!」
「やっぱり、客観的視点で考えたら注意すべきやないんかなあ?」
「せやけど、注意しにくいもんなあ・・・・・」
「別の選択肢があるやん!
部長に相談したらええんちゃうん!」
「そうやな!
その選択肢を選択しよう!」
という様な会話の末、会社の知るところになったのです。
本来なら、長きに渡り知っていたのに報告をしなかった者にも罰があるところなのですが、
「こういう膿が出てきたのもスタッフたちの意識が変わってきたから。」
「今までならこの様な問題は水面下に沈んでいたものだが、それが表面化しだしているということは風土が変わってきている証拠。」
ということで、罰はなく、逆に社長から褒められるということになったのでした。
これが偽りの客観的視点から、本当の客観的視点に変わった瞬間だと思います。
偽りの客観的視点での行動はストレスが溜まります。
自分の感情を抑えているので当然です。
そのストレスが溜まりすぎて爆発したり、心の病気になる前に客観的視点に転換していきましょう。
(つづく)
野外研修・人材育成・社員教育・風土改革・組織改革・研修
社会人の青春!!野外研修と「スクールプロセス型」人財育成
株式会社シナジーアーク 代表取締役
一般社団法人日本野外研修ワークショップ協会 西日本エリア統括兼関西支部長
蔀 晋輔(しとみ しんすけ)