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＜挫折しても諦めない人になれ＞

誰かに助けられている⑤

エピソード⑤

清水さん（男性・仮名）というアルバイトスタッフの方がおられました。

清水さんの本業は探偵で、仕事のない時間帯にアルバイトをしているそうです。

そんな清水さんが挫折と、その挫折から立ち直れた話をしていただきました。

「私はアルバイトをしていますが、本業は探偵です。

　本当は警察官になりたかったのですが、なることができませんでした。

　ですので、探偵になりました。

　探偵になった時に、ストーカーから身を守ってもらいたいという依頼があり、一人の女性を護衛していました。

　しかし、逆上したストーカーに、棒の様なもので頭を殴られ、気を失ってしまったのです。

　それが悔しくて、申し訳なくて、情けなくて・・・・・という出来事でした。

　私は彼女を守ることができず、その女性を被害にあわせ、傷つけてしまいました・・・・・

　もう、自分は探偵をする資格はないと、ずっと落ち込んでいる日々が続いていました。

　そんな時に、別の女性から、同じ様にストーカーからの護衛の依頼がきたんです。

　私は悩んだのですが・・・・・今度こそは・・・・・という気持ちと・・・・・これで駄目だったら辞めるしかない。

　何が何でも守って見せる。

　そんな気持ちで請け負うことにしました。

　そのストーカーも、犯罪寸前の状態でした。

　ある日、そのストーカーが現れ、彼女を連れ去ろうとしたので、私と取っ組み合いになりました。

　相手の持っていた武器を振り払い、取り押さえることができたのですが・・・・・

　油断したところを、スタンガンの様なもので撃たれまして・・・・・

　体に激痛が走って、気が遠くなってしまいました。

　その中で、また俺は負けてしまうのか？

　俺は駄目なやつなのか？

　また、気を失って、彼女を守ることができないのか？

　彼女はどうなるんだ？

　朦朧としながら、そんなことを考えていました。

　で、ギリギリのところで意識を失わずにすみ、何とか相手を取り押さえて、彼女を守ることができました。

　相手を警察に突き出し、その後は現れることはなくなりました。

　被害にあっていた女性は、恐怖のために話をすることもできなくなっていたのですが、そんな彼女を守ることができました。

　少しずつ会話もできる様になり、事件後に電話をくれたことがありました。

　ほとんど無言に近い状態でしたが、すぐに彼女だと分かり、お礼を言っていることも分かりました。

　でも、本当に救われたのは自分なんです。

　彼女を守り抜くというチャンスをもらって、それをやり切ることをさせてくれた。

　そんな彼女に、本当に感謝しています。

　この件がなければ、僕はずっと自分を責めるだけの人生を歩いて来たと思います。

　少なからず、彼女の役に立たせてもらえたことで、何とか立ち直ることができたのです。」

涙ながらに語った彼の話に、受講生全員が固まった様になり、多くの人が泣いていました。

最後の最後に、自分に負けなかった清水さん・・・・・

普通の人はあまり経験をしない様な話でしたが、人を救う仕事をしている清水さんも、依頼主の彼女に救われたのでした。

（つづく）

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