社員研修ブログ(1155号)指導者失格①
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ある営業マンがいました。
彼は部署をまとめる部長職となり、自分も営業をしながらも部下の営業スキルを高める立場になりました。
部下であるA君はそれなりの成績を残していましたが、更なるスキル向上のために一緒に営業に行くことにしました。
営業中はA君がほとんど話をして、部長はA君の改善点を見つけるために見つめていました。
そして、商談後にダメ出しをしていたのでした。
「あそこの言い回しはこうした方がお客さんの心に響くから!」
「ちょっとお客さんとの会話に砕け過ぎた感があるので、もう少しビジネステイクに対応した方が良いから!」
「この商品の説明をする時は、こんな話をした方が良いよ!」
当初はA君の成績もよく、お客さんからの信頼度も高かったのです。
ところが、部長が教育をする様になってから、成績がどんどん落ちていったのです。
その結果、A君は退職して同業他社へ転職したのでした。
そして、転職先での成績は良く、社内でも表彰される程だったのです。
部長は断腸の思いでいたのですが、A君と同じ様にB君の教育に熱を入れることにしました。
そんな中、B君からこんな話をされたのです。
「部長、私もA君と同じ様に退職することを考えています。
部長のフィードバックを受ける度に、自分らしさが損なわれていく気がしてやりにくいんです。
部長のやり方は正しいと思いますけれど、部長が得意とするやり方だと思うんです。
私にはやりづらいし、A君もやりにくいと言っていたのが、今、理解できました。
部長は自分のコピーを作ろうと思っているんだと思います。
でも、私は得意とすることも不得意とするところも部長とは異なります。
漫才師が他の漫才師のネタをする様な感じで、しっくりとこないし言葉に気持ちも乗らないのです。
部長は私にダメ出ししますが、お客さんからの評判が悪かったこともなく、逆に信頼も得てそれなりの成績だったと思います。
それが部長の言う通りにすればする程にぎくしゃくした関係になって、業績にも影響が出始めている様に感じます。
なので、私もA君と同じ様に、自分らしく働ける場所に行きたいと思っているんです!」
その言葉を聞いて部長は脳天を叩き割られた様な衝撃を受けたのです。
こんなに部下の成長を願っているのに!
みんなと一緒に会社を盛り上げていきたいと必死だったのに・・・・・
(つづく)
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蔀 晋輔(しとみ しんすけ)