問題がないことが問題②
おはようございます。
社会人の青春! 蔀(しとみ)晋輔です。
第三者であるコンサルタントに全従業員の本音のヒアリングをしてもらい、その報告の日がやってきました。
報告会はA店の店休日を利用し、社長・専務・部長・全店舗の店長・A店の全社員が出席しました。
社内では何の問題もないと認識されていたA店です・・・・・
そして、報告者から淡々と読み上げられます。
まずはA店の店長を含めた、各々の社員の良い面から。
「店長は頭がよく、分析力に長けている。
主任は面倒見が良く、アルバイトにも気遣ってくれる・・・・・など」
そして、各々の社員の悪い面の報告です。
「店長はホールに出ても、テレビモニター(ホール内に設置されているテレビ)ばかり観ているので、注意をされても言うことを聞く気になれない。
店長は業務以外のお菓子を買って来い!とか肩を揉め!とかの命令が多く、公私混同している。
部長と店長は仲が良いが、それ以外の社員とはコミュニケーションが取れていない。
幹部がそんな感じなので、一般社員も店内に不良客がいても見て見ぬ振りをしている。
店長は数字が一番で、店の中のことには興味がない。
店長は部下やアルバイトの話を聞く気がないので、誰も何も言わなくなっている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
と問題が出てくる!出てくる!
100項目以上の問題点が抽出されたのでした。
発表者は淡々と発表をし、最後にこう言いました。
「様々な問題が項目として挙がってきていますが、大きなポイントとしては、
・店長が従業員たちとの間に信頼関係がないこと
・またそれに対して、信頼関係を築こうとする意識がないこと
・そういった状況で、主任以下の社員が何も発言しないこと
・またそれに対して、発言しなければいけないという意識がないこと
・それらを部長がまったく気づいていなかったこと
の5点になると思われます!」と。
部長はうなだれて下を向いています。
店長は涙目になり、上空を見つめています。
主任は拳を握り、歯を食い縛っています。
社員はどこを見ていいのか?分からず空間を見つめています。
専務は腕を組み、険しい表情でみんなを見つめています。
そして、社長が発言しました・・・・・
さて、何と発言したでしょう?
あなたが社長なら、どんな発言をしますか?
一度、考えてみて下さい。
・・・・・・・・・・
全従業員の悪い面の発表が終わりました。
社長からはどんな怒号が響いてくるのか?・・・・・参加者はうなだれています。
そして、社長が話し始めました。
「そうか!そんなにひどい状態やったか!
しかし、ひどいなー!
ここまでよう放置してきたな!
でもまあ、これでスッキリしたわ!
問題が分かれば、後はみんなで改善していけば良いだけやからな!
今までこういう問題が隠れてたのが、大きな問題やったんや!
今日はきつい批判の言葉を言われて、傷付いている者や腹が立っている者もおると思う。
今発表された事柄がすべて事実やとも思えへん。
中には反論したい者もおるやろ!
でもな、これは俺らに対して発せられた言葉や!
今は自分自身を鑑みて、すべてを真摯に受け止めよう!
自分自身の言動が、周りにどういう影響を与えてきたのか?
仲間に対して愛情はあったのか?
仲間を想っての行動を取れていたのか?
今一度、自分自身に矢印を向けて考えてみようや!
俺もこういうヒアリングをするまで、現状を把握することができひんかった・・・・・
それは俺の不徳の致すところや・・・・・
俺自身も自分に矢印を向けたら、みんなに謝らなあかん!
すまん!申し訳ありませんでした!
こういう状態になるまで気づいてやることができひんかった。
許してくれ!
だからもう一回初心に戻って、一からやり直そう!
過去のことはもうええ!
今日この時点で全部精算や!
誰も責めるつもりもない!
ただ、今から変えていこう!
本当に仲間を大切にする、素晴らしいチームをみんなで築いていってくれ!」
社長の目には涙が浮かんでいます。
店長も口を震わせています。
社長のその呼び掛けに全員で答えました。
「はい!!!」
この後、問題点を解決するために様々な研修を実施し、全員で学びや気づきを得ると共に、プロジェクト活動を行い改善のために取り組んでいくことになりました。
これは私が起業した頃のエピソードです。
あなたは問題を把握することができていますか?
問題がない!と思っていることが問題かもしれませんよ!
野外研修・人材育成・社員教育・風土改革・組織改革・研修
社会人の青春!!野外研修と「スクールプロセス型」人財育成
株式会社シナジーアーク 代表取締役
一般社団法人日本野外研修ワークショップ協会 西日本エリア統括兼関西支部長
蔀 晋輔(しとみ しんすけ)