目的と手段の履き違え
おはようございます。
社会人の青春! 蔀(しとみ)晋輔です。
今日は目的と手段をはきちがえてしまった、とある飲食店の主任さんのエピソードを話したいと思います。
その主任さんは真面目で、指示を受けた業務は一途に遂行するタイプです。
ある店舗で、“来店客数アップ”のための一つの施策として、離反客を減らすための取り組みをすることが決まりました。
その主任は、その課題遂行のリーダーに選ばれたのです。
次回のミーティングで、いくつかの取り組み案を提案し話し合われることになりました。
主任はやり甲斐も感じ、“どうやってお客様の不満を知ることができるのか?”と考えました。
そして、来店者にアンケート調査を行うことにしました。
お客様ご意見箱も設置し、大々的にアピールしました。
翌週には、常連客を中心に個別のヒアリングも実施しました。
メール会員にも要望があれば言って欲しいと送信しました。
そして、期日のミーティングの日を迎えます。
主任の発表内容は、
「お客さんの当店への満足度は、満足が○人・不満足が○人・どちらでもないが○人・・・・・
置いて欲しいメニューは、○○と△△と××・・・・・
人気のメニューの1位は○○、2位は△△、3位は××・・・・・
・・・・・・・・・・
来月からお客さんのニーズを知るために、月に一度のアンケート調査を実施します。
アルバイトスタッフにも協力してもらって、お客様の声をノートに書いてもらって提出してもらう様にします。
・・・・・」
という内容で、離反客を減らすために、こういう取り組みをしたい!という話がありませんでした。
そして店長は質問しました。
「今日までの期間、何を目的に動いてきた?」
「どうすれば、不満やニーズを吸い上げられるか?です。」
・・・・・
主任にとっての目的が、お客様の不満やニーズを、吸い上げられる仕組み作りになってしまっていたのです。
その日のミーティングは、意見交換の場ではなく、お説教タイムになってしまいました。
「課題遂行のために、考えたことややってきたことは何や?」
「どうすれば、不満やニーズを吸い上げられるか?そのためにどんな方法があるのか?それをスタッフにどう教育すれば良いのか?を考えて実行してきました。」
「まあ、不満やニーズを吸い上げる努力はしてるな・・・・・
それで何をする?」
「・・・・・」
「不満やニーズを吸い上げるのは、何のためや?」
「・・・・・不満をなくして、店の魅力を高めるためです・・・・・」
「じゃあ、何のために店の魅力を高めるの?」
「・・・・・」
「ええか!今回の取り組みの目的は来店客数をアップさせることやぞ!
そのために方法は色々あるやろ!
新規来店者を伸ばすのか?来店回数を増やすのか?
今回はまず、店に対して不満を持って来店しなくなるのを防ごうって動いてたんやないのか?」
「・・・・・はい・・・・・」
「だからその不満を洗い出して、一つひとつ潰していかなあかんのとちゃうんか?
満足している人が何人おるとか、それが全体の何%やとか、今回の課題ではどうでも良いことやねん!
それよりも一人のお客さんが持った不満内容をみんなで共有して、それをどう改善するかを話し合いたいんや!
アンケート調査をするのが目的やないど!
お客様の不満を知ることも目的やないど!
その不満を解消するのも目的やないど!
目的は離反客を減らして、来店客数を増やすことやど!」
「はい・・・・・」
「分かってんのか?
今日のミーティングで、何をどうするのか?提案できるのか?」
「いや・・・・・そこまでは考えてないので・・・・・」
「あほか!それを話し合うのが今日のミーティングやろが!
アンケート結果を見るのがミーティングちゃうぞ!!」
とまあ、主任は店長に説教されて、課題は後日話し合うことになったのです。
今回の物語は、まだ本来の目的につながりやすいパターンでしたが、そうでないパターンも多いと思います。
・情報共有のために日報を書くことにしたが、情報共有できないまま日報を書くことが目的になってしまっている。
・日々の推移を分析するために、様々なデータをフォーマットに入力しているが、それを使って分析をすることはなく入力するという作業が目的になってしまっている。
などなど、一度自店の作業の目的を見直してみてはどうでしょうか?
無駄な努力をなくして、必要な努力をする時間が増えるかもしれませんよ。
あなたの部下は、目的と手段を履き違えていませんか?
野外研修・人材育成・社員教育・風土改革・組織改革・研修
社会人の青春!!野外研修と「スクールプロセス型」人財育成
株式会社シナジーアーク 代表取締役
一般社団法人日本野外研修ワークショップ協会 西日本エリア統括兼関西支部長
蔀 晋輔(しとみ しんすけ)