パチンコ店　女店長！聖子の「社会人の青春」店作り　その８「繁盛店②」

おはようございます。

社会人の青春！　蔀（しとみ）晋輔です。

パチンコ店　女店長！聖子の「社会人の青春」店作り　その８「繁盛店②」です。

その７「競合店①」はこちら！

森は次の店に行くために、聖子を促した。
場所はその店からタクシーで３０分程のところにあった。

「ここもな、さっきの店と同じ社長の店なんや。」

そう言われて、聖子は店内に足を運んだ。
同じ様な親しみにあふれた接客をしているのだろう・・・・・そう思って入口をくぐった。
しかし、そこには全く異なる風景が広がっていた。

年齢層は２０～３０代と若い目のお客さんが多く、頻繁にデータのチェックをしている。
スロットコーナーの比率も高く、島端には前日の出玉データが貼り出されていた。
満席に近い状態で、お客さんがひしめき合っていた。
お客さん同士の会話も、先程と異なり荒い感じがする。
パチンコを打っているお客さんの会話が聞こえてきた。

「この台、めっちゃ回りますわ。
　こんなん、赤字になるんちゃいます？」」
「アホ！
　ここの店長は出そうな台は回らん様にしよるんや。
　確率的に出んやろうと読んだ台は、逆に回しよるんや。
　そう考えたら、お前の台は出ん確率が高いんちゃうか？」
「マジっすか！？
　でも、それも推測でしょ？」
「そりゃそうや！」
「じゃあ、この台で粘りますわ。
　店長の読みが外れて、ガッポガッポですわ。
　これだけ回ってたら、出んかってもしゃあないですよ。」
「好きにしたらええけど・・・・・
　俺はこの３日間で１０回も出てないこいつで勝負や。
　店長も回らん様にしとるし、店長の読み通りこいつは出るはずや。」

そんな会話が飛び交っていた。

スタッフを見ると、先程の様な親しみ感あふれる会話をしている姿は見られなかった。
どちらかというと、ランプを押したお客さんの元に、迅速に行き対応をする事が優先されている様だった。

聖子は店の中を見て回り、森の元に戻ってきた。

「聖子ちゃん、一通り見てきたか？」
「はい。」
「じゃあ、しじみに行って軽く飯でも食べよか？」
「はい、分かりました。」

二人は、以前飲みに行った小料理屋“しじみ”に行く事にした。

「とりあえず、乾杯！」
「はい、お疲れ様です。」
「どうやった？」
「全く違う店作りをしているのに驚きました。」
「フム。」
「やっぱり、商圏内の客層に合わせた店作りをしているんでしょうね。」
「そうやな、あえて違うコンセプトの店を出したんやなくて、この地域の人には、どういう店が喜んでもらえるんやろか？って考えてな、突き詰めていったらこうなったわけやな。
　聖子ちゃんのこの企画書な、誰をイメージして作った？」
「えっ！？
　だ、誰・・・・・をイメージ・・・・・ですか？」
「そうや。
　喜んでもらおうと思って考えてるのに、誰に喜んでもらうのか決めてなかったら、何のアイディアも出てこんやろ。
　プレゼントを選びに行ってるのに、プレゼントを母親にあげるのか？父親にあげるのか？恋人にあげるのか？・・・・・それで、変わってくるわな。」
　
聖子は思い詰めた様に話し出した。

「・・・・・私・・・・・
　何も考えてなかったです。
　自分の店に来てくれているお客さんとか、近所に住んでる人達とか、そんなん何も考えてなかったです。」
「そうやな、だから無機質なな、セオリー通りの、しかも表面的な部分の企画書になってまうんやな！
　アハハハハ。」
「ああ・・・・・何か傷つくなあ・・・・・」
「企画段階で良かったがな。
　聖子ちゃんの上司が駄目出しした理由もそこやろな。
まあ、今から考えられるがな。」
「はい・・・・・」

聖子は自分のお店のお客さんや、地域の人たちをもっと知ろうと決意しつつ、森に連れられて行ったパチンコ店の事をもっと知りたいと思い、森に質問を投げ掛けていた。