パチンコ店　女店長！聖子の「社会人の青春」店作り　その９「どんな人に来てもらうのか？」

おはようございます。

社会人の青春！　蔀（しとみ）晋輔です。

パチンコ店　女店長！聖子の「社会人の青春」店作り　その９「どんな人に来てもらうのか？」です。

その８「競合店②」はこちら！

「今日連れて行ってもらった店なんですけど、同じ経営者とは思えない店作りで、本当にビックリしました。
　やっぱり、商圏内の客層に応じて、店作りの方法も変えているんですね。」
「そうやな。
　両極端な店やろ？
　でも、商売をするという軸は一緒なんやで。」
「そうなんですね。」
「その地域で、どんなお客さんに来てもらおうか決める。
　その人にどんな価値を提供しようか？定める。
　それだけなんや。」
「はい。
　何か、すごく勉強になりました。
　自分のスキルの低さが嫌になってきました・・・・・」

聖子は少し元気がなかった。

「一軒目の店はな、あの地域は富裕層が多くてな。
　分かりやすく言うたら、お金持ちの年配者が多い地域なんや。
　だから、単にギャンブルとしてのパチンコやなくてな、それ以外の付加価値を考えたわけやな。
　おじいちゃんやおばあちゃんは、人とのふれあいを望んでる傾向があるやろ。
　年取って、淋しいからな、コミュニティを求めるんや。
　淋しいだけやなくて、人とのふれあいで、人生を充実させたいという気持ちもあるんや。
　単に損得だけやなくてな。
　と、人生のベテランでもあるからな、本物を見抜く力も持ち合わせてるわけや。
　上っ面の愛想笑いには共感せえへんぞ！ってな。
　しょうもないもんには一銭も払わんけど、ほんまもんの、自分が認めたものには、いくらでもお金は出すっていうタイプでもあるんやな。」
「そういった人達が満足というか、認めてくれる店作りをやってきたんですね。」
「そうや。
　で、２件目は正反対やろ。
　あの地域は肉体労働者が多くて、おまけに大学もあるから、若い層も多いんや。
　どちらかというと、パチンコをする時は、勝ちに行くぞ！っていうタイプが多いんやな。
　そのために研究もして、遊技内容も詳しくてな。
　スロットなんかは、従業員よりも詳しい人がようけおるんちゃうかな？」
「なるほどですね。
　それで鉄火場的なイメージの店作りをしてるんですね。」
「そうや、勝てそうな情報を出してあげてな。
　純粋にギャンブルを楽しんでもらうっていうコンセプトや。」
「凄く納得できます。」

聖子は自分の情けなさと、これから考えるべき事が明確になってきたという喜びを、同時に感じながら、森からのアドバイスを聞き続けていた。

お腹も膨らみ、その日はそのまま解散する事になった。
聖子は帰り道にある、大型チェーン店の地域で最も流行っている店に寄り道をした。
入店した瞬間、スタッフが満面の笑顔で、右手を高く突き上げながら大声で挨拶をしていた。

「いらっしゃいませ！こんにちは！
　今日はＣＲ俺たちの旅のコースがおススメになっております。」

目を合わす事もなかった。

コース内では、作業後に綺麗な一礼をしているスタッフがいる。
誰に微笑んでいるのか？
分からない方向を見ながら笑顔で巡回をしている。
この店は、どういう考えで、こんな店作りをしているんだろう？
そう考えながら、ホール内を見て回っていた。

この店はスタッフとか企画とか、そういうもので集客しているんじゃない。
最新機種だとか設置台数、品揃え、何よりもこの大型の店舗設備・・・・・
ゆったりと遊べるコースの広さ、隣の人のタバコの臭いも気にならない分煙装置・・・・・
自由に休憩できる、広々としたレストルーム・・・・・
お腹が空けば、レストランも併設されている・・・・・
で、接客は・・・・・プラスにするための接客じゃなくて、マイナスをなくすための接客・・・・・
不快感をなくして、離反原因をなくし、圧倒的な設備と装置で集客している・・・・・
そんな事を分析しながら見ていた。

そして、強い想いが込み上げていた。

「アーク園田店で、ここと同じ事をしていても、競合の大型店には勝てない。
　森さんの知り合いの社長の店の様な、その地域のお客さんに価値あるものを提供していかないと・・・・・
　でも、それは何？
　アーク園田店で提供出来る価値って・・・・・何？」

そう心の中でつぶやきながら、家路に着いた。

（つづく）

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