社員研修ブログ（５５６号）パチンコ店　女店長！聖子の「社会人の青春」店作り　その２２「ＶＳ大藤副店長」

おはようございます。

社会人の青春！　蔀（しとみ）晋輔です。

パチンコ店　女店長！聖子の「社会人の青春」店作り　その２２「ＶＳ大藤副店長」です。

その２１「相思相愛」はこちら！

翌日、聖子は予定通り大藤副店長、奥村主任とミーティングを行っていた。
主任と先に話したことがばれない様に、奥村も初めて話を聞いたことにして、今まで話し合った内容の説明をする聖子だったが・・・・・
奥村の予想通り、大藤は否定意見を連発していた。

「うちに来てほしいお客さんって、本郷ジョージ？
　ちょっと、意味が分からんなあ。
　来てほしいのは、年配者も若者も、男性も女性も全部やがな。
　その弟分とか、弟分の彼女とか、そんなに客層を狭めたら誰も来ん様になるがな。」
「ちがうんですよ。
　不特定多数のすべての人をターゲットにすると、店の価値がぶれて、結局何の価値もない店になってしまうんですよ。」
「そんなことはないで。
　色んな層に合わせた価値を、作っていったらええんや。」
「そうすると、その価値の方向性がバラバラになってしまうと思うんですよ。
　バラバラになると、結局何の価値もない店になってしまうと思うんですね。」
「それはそれでええんや。
　居酒屋のメニューもそうやろ？
　色んなメニューがあるから、色んな人が来るんやで。」
「居酒屋も若者をターゲットにしてるところは、それ向けのメニューにしてますよ。
　量が多くて安くしたり、店も騒げる様な雰囲気にして・・・・・」
「そうかな？
　年配者も若者もごっちゃに集客してると思うけどな。」
「それは、若者の様に食欲があって、騒ぐのが好きな・・・・・そう、若者的な感覚の年配者が来てるんですよ。
　そうやってね、若者をターゲットにして、若者に共感してもらえる様な価値を提供してるからね、それに共感する若者に近い年配者も共感してくれるんですよ。
　ターゲットっていうのは、絞り込むことで、逆に広がっていくと思うんですよ。」
「よう分からんな」

大藤は否定的な口調で、反論をし続けた。

「ターゲットを絞るんやったら、女性とか、男性とか・・・・・
　年齢とかで絞るべきやないか。
　あんな個人像を出してきても、意味がないやろ？」
「女性っていってもですね。

　２０代と４０代で全く異なるでしょ。
　その異なっている層に対して、同じ価値を提供出来ないじゃないですか？」
「だから、同じ価値を提供せんでもええがな。
　それぞれの層に対して、異なる価値を提供したらええんや。」
「それをすると、全く個性のない、何がしたいのか分からない店になるじゃないですか。」
「そんなことあらへん。
　ラーメンもうどんも、スパゲティもカレーもある食堂の方がええがな。」
「それは、ワンコインで食べられるとか、別の切り口の価値があると思うんですよ。
　それがない食堂やったら、流行らないと思いますよ。
　どれも、美味しそうじゃないじゃないですか。
　ラーメンを食べたい時には、そういう店じゃなくて、徹底的にラーメンを研究して作っている店に行くと思いますし・・・・・」
「それは、人それぞれやがな。」
「それぞれですけどね、何の特色もない店は潰れていくと思います。」

二人の会話は、ずっと平行線のままだった・・・・・というよりは、大藤が交わろうとしていない雰囲気が伝わってきていた。

「奥村は黙っとるけど、どう思ってるんや？」

大藤は、聖子を孤立させたいと思い、奥村に発言を促したのだが・・・・・

「僕は店長の意見に賛成です。
　あり余る資金を使って、それぞれの専門のコックを雇って、だだっ広い厨房を用意してやれば、副店長の言ってることは出来るかもしれないですけど・・・・・
　うちの様な３番店は、そのやり方では駄目だと思うんです。
　もっと特化して、どこにもないオンリーワンな店を目指すべきだと思います。」

その発言に大藤は怒りをあらわにして、結局お互いの意見を押し付け合っただけの状態でミーティングは終了してしまった。

（つづく）