パチンコ店　女店長！聖子の「社会人の青春」店作り　その３「企画書」

おはようございます。

社会人の青春！　蔀（しとみ）晋輔です。

パチンコ店　女店長！聖子の「社会人の青春」店作り　その３「企画書」です。

その２「メンバーとの出会い」はこちら！

聖子は、企画書を作るために、インターネットを駆使しながら、様々な情報や知識を入手していた。
少子高齢化とパチンコ人口の動向
年齢別の遊技嗜好
全国的なスペックの比率やそれぞれの稼働
大手優良店の立地場所
最近のヒット機種
・・・・・・・・・・
そういったものを調べ上げ、何とか企画書を作り上げた。

そして、喜屋武との打ち合わせの日。

「・・・・・
　前の店長もな、似た様な企画書を出してきてな・・・・・
　会社的には余裕があったからな、俺の考えよりも店長の考えを優先させたんやけどな。」
「えっ！？
　じゃあ、前の店長はそれで失敗したんですか？
　失敗するって分かってて、やらせたってことですか？」
「いや、今までやったら、それでも上手いこといってたからな。
　その時も、上手くいく可能性はあったと判断したんや。
　でも、時代は変わり過ぎたからな、結果としてはあかんかってんやな。
　そういう不安材料はあったんやけどな・・・・・やらせたんや。
　社長もな、店長が可愛かったからな、成長させるためにやらせたらええ！っていう考えやったんや。」
「それで、失敗したら、異動させられて・・・・・ですか？」
「左遷で異動したんやないで。
　今回の失敗を成長の糧にして、活躍してもらうために、アーク園田店と同じ様な状況の店の立て直しで行ったんや。
　店が大きく変わるためにはな、店長が交代するっていうのも、大切になることもあるんや。」
「そうなんですか・・・・・」
「・・・・・まあ、そういう事やからな・・・・・やり直しやな。」
「えっ！？」
「それとな、この企画はな・・・・・大型店でグランドオープンする時の企画に見えるな。
　聖子ちゃんが元々おった店の匂いがするわ。
　遊技台が１０００台とか２０００台もある店やな。
　アーク園田店は、中小規模店で３００台あるかないかのクラスやろ。
　地域も繁華街ではなくて、駅前とはいえ住宅街や。」
「でも、このデータでは、人口構成比も・・・・・」

話し出した聖子を遮って、喜屋武は再度考える様に指示を出した。
聖子は、何が駄目なのか？納得できないままでいた。
考えても、考えても、同じ答えしか出て来ない。
そんな状態で、森と会う日がやって来た。

待ち合わせ場所は、大阪駅のある梅田であった。
森が、近隣で聖子がおすすめするパチンコ店を見たいと言ったからである。
聖子はホステス時代に、よく行ったパチンコ店を紹介した。
ホール内をぐるりと回り、５０００円ずつ遊んでから、食事に行くことになった。
聖子の相談の依頼ではあるが、遊技代を出してくれたのは森であった。

「すいません。
　私がお願いしているのに、お金まで使わせてしまって・・・・・」
「何言うてるんや。
　久し振りに、わしもワクワクしとるんやから。
　聖子ちゃんに、お金出してもろたら、逆にわしの立場があらへんがな。」

そう言いながら、新地の小料理屋“しじみ”で、食事をしながら打ち合わせをすることになった。
森はビールを飲みながら、聖子の作った企画書を読んでいた。

「会社の人には、これは見せたの？」
「はい。
　エリア長に・・・・・」
「それで、何て言われた？」
「やり直せと・・・・・」
「そうか。
　・・・・・・・・・・
　わしがエリア長やったらな・・・・・」

聖子は、エリア長が駄目だと言っても、森は褒めてくれるのではないかと、半分は覚悟しながらも、半分は期待しながら言葉を待っていた。
それだけ頑張ったという自負心もあったからであるが・・・・・
森の言葉は、

「やっぱり、同じやな。
　やり直しって言うな。」
「えーーーーー・・・・・！！！
　森社長も、同じなんですかーーーーー・・・・・！！！」
聖子は配膳された料理に目もくれず、
「何がアカンのですか！？
　ずっと考えてたんですけど・・・・・それ以上のものが浮かんでこなくて・・・・・」

聖子は、泣きそうになりながら、森に詰め寄った。
「分からないんです。
　教えて下さい。」